導入事例はなぜ必要?3つのメリットと失敗しない制作のコツ

BtoBビジネスにおいて、サイトに「導入事例」を掲載している企業は珍しくありません。

しかしこの導入事例、「なぜ重要なのか」「どんなメリットがあるのか」をご存知でしょうか。

今回は、導入事例を用意する3つのメリットや、導入事例制作で失敗しないためのポイントを紹介します。

「意外と知られていないノウハウ」も紹介するので、既に導入事例を作成している方も、ぜひ参考にしてみてください。

※本記事は弊社執筆のうえ、BtoB導入事例の制作会社「douco株式会社」監修のもと、作成いたしました。



導入事例を用意する3つのメリット

導入事例を用意する3つのメリット

導入事例を用意するメリットは数多くありますが、特に大きいのは以下の3つです。

  1. 顧客に合わせて商材の活用メリットを提示できる
  2. 良好な関係の顧客が存在していることのアピールになる
  3. アクセス解析ツールには表れない顧客の声を聞ける


順番にお伝えしていきます。


1.顧客に合わせて商材の活用メリットを提示できる

導入事例でもっとも重要なメリットが「顧客に合わせて商材の活用メリットを提示できる」ということです。

そもそも「抱えている課題」「会社の規模」「業界」などは、顧客によって異なります。

そもそもサービス紹介ページに載っている情報だけでは、

  • 「具体的な活用イメージがわかない」
  • 「本当に成果が出るのか不安」
  • 「ウチには当てはまらなさそう」

と顧客に思われかねません。また、決裁を担当する上層部などはお金を払う=投資を決定するにあたり、他社での成果を気にすることが多いです。

そこで、顧客の状況に近しい事例を出すことで「御社と似た会社でも成果が出ています。具体的には~~」と、顧客に合わせたメリットや活用方法を詳細に提示できます。

窓口となってくれている担当者の方が、上司に稟議を通しやすくするためにも、事例は役に立ちます。


2.良好な関係の顧客が存在していることのアピールになる

導入事例を用意しておくことで、「良好な関係の顧客がいること」のアピールになります。

事例に出るということは、「取材をOKするくらい、信頼関係がある」もしくは「出ても良いと思えるほどの成果が出ている」ことの証です。

Webサイトに多くの事例が掲載されているほど、それだけ多くの顧客に満足してもらっていると思ってもらい、信頼につながります。


3.アクセス解析ツールには表れない顧客の声を聞ける

事例インタビューを通じて、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールには表れない「顧客の声」を聞くことができます。

事例インタビューにおいて、

  • 認知したきっかけ
  • 申し込みまでの課題や心理
  • 稟議でネックになったこと
  • 使用感や施策内容
  • 利用して良かったこと
  • 今後期待する機能やサポート

などの質問をすれば、これらの情報は、そのまま商品開発やマーケティングに活かすことが可能です。

事例を作ることで客観的な顧客の声を取り入れることができ、事業へのフィードバックにつながります。


受注につながるセールスコンテンツの作り方


用意するべき導入事例の本数とは

用意するべき導入事例の本数とは

では、導入事例はどれくらい制作すべきなのでしょうか?結論、以下の本数を用意しておくのが効果的です。

  • 最低:12件
  • 目標:30件以上

上記の数値は、株式会社WACULの研究レポート「SaaSを扱うB2Bサイトにおける事例紹介ページの改善策の提言」にて報告されています。

詳しい調査内容は上記のレポートをご確認いただけたらと思いますが、特に重要なのは以下2つの項目です。

  • 事例コンテンツを追加することで得られるCVR改善効果は、事例コンテンツ数30件までは大きく、事例コンテンツ数30件からは小さくなる
  • 事例コンテンツが12件を超えると、「事例ページ経由CVR」の方が「事例ページ非経由CVR」に対して高くなる

※上記レポートより引用

以上の理由で、導入事例は「最低12件、目標30件以上」を目安に制作してみてください。


不足している事例はマトリクスで把握しよう

事例制作を進めていくにあたり、以下のような「顧客マトリクス」の用意をおすすめしています。

事例制作を進めていくにあたり、以下のような「顧客マトリクス」の用意をおすすめしています


そのため、営業時に「事例に出てくれるなら値引きする」などの便宜を図ることでスムーズに事例への協力を取り付けることができます。

とはいえ、ビジネスで利益を上げていくためには全ての顧客に便宜を図るわけにもいきません。

そこで、重要なのが「どの顧客に対してなら、便宜を図ってでも事例出演をしてもらうのか」という優先度を決めておくことです。

そこで使うのが、上述の「顧客マトリクス」です。

  • どの業界
  • どのくらいの規模
  • どういった課題解決

などの表を作り、すでに事例がある/ないを埋めていきます。

すると「この業種、規模のお客様事例がないから積極的に事例出演の声がけをしよう。その際には便宜を積極的に図ろう」などの意思決定がしやすくなります。

単純に、事例の抜け漏れがなくなるだけでも十分効果が見込めるので、この顧客マトリクスの作成はおすすめです。


導入事例インタビューで失敗しないための3つのポイント

導入事例インタビューで失敗しないための3つのポイント

導入事例のインタビューはその場限りのため、失敗しないために入念に準備をしておく必要があります。

とはいえあまりノウハウも出回っておらず、どうすれば良いか困ってしまう方もいるかもしれません。

そこで、導入事例インタビューで失敗しないためのポイントとして、以下の3つを紹介します。

  1. 事前に記事の構成を決めておく
  2. 主張に対する「根拠」と「具体例」を聞き逃さない
  3. 成果は「数値」で聞き出す



1.事前に記事の構成を決めておく

導入事例の記事の構成(目次)は、取材前に8割ほど決めておくと安心です。事前に構成を決めておくことで「この内容は記事の中でも重要なので、特に深堀りして聞こう」のように、重点的に聞くべき内容が明確になるためです。

特に、今後商談を進めやすくするためにも、事例制作担当者は、営業担当者などに対し「今後の営業のために、この商材のこの効果については絶対聞いてほしい」というリクエストがないかを聞いておくのがおすすめです。

また可能であれば、事前の構成は取材先に共有することを推奨します。取材先も聞かれる内容がわかっていれば「この部分を特に厚めに喋ろう」「必要な情報を整理しておこう」と、準備ができるためです。

なお、インタビューしてから内容が変わることは珍しくありません。そのため「インタビュー内容に応じて構成は変更する可能性があります。」と伝えておくとスムーズです。

このように「取材する側」「取材される側」ともにメリットがあるため、記事の構成は事前に作成してみてください。


2.主張に対する「根拠」と「具体例」を聞き逃さない

インタビュー中は「根拠」と「具体例」を聞き逃さず、メモや録音に残しておくことをおすすめします。

インタビュー中は「なるほど!」と納得したつもりでも、いざ執筆してみると「根拠が言語化できず筆が進まない」「具体例を聞き忘れてしまった」といったケースが多いためです。

「根拠」がないと主張に「なぜ?」が残るため、納得感がなくなります。また「具体例」がないと「何となくわかるけど、具体的にイメージできない」のように伝わりにくくなってしまいます。

「伝わる事例」を作るためには、インタビューで「根拠」と「具体例」を聞き逃さないよう、徹底してみてください。

とはいえ、「インタビューは緊張するし、自信がない」という方もいるかもしれません。

そのような場合は「主張」「根拠」「具体例」を表にまとめて、空白がないようにインタビューすると聞き逃しがなくなります。ぜひ試してみてください。

主張
根拠
具体例
〇〇すべき
△△のため
□□を■■したら〜〜だった






表のイメージ



3.成果は「数値」で聞き出す

インタビューでは「具体的な数値の成果を聞き出す」ことも重要です。

数値があることで具体性が増し、説得力がグッと向上するためです。

例えば、導入事例の成果が

  • アクセス数が上がった
  • 作業が短くなった
  • 利用者から好評を得ている

だといかがでしょうか。

良さげに見えるものの「会社で導入を検討するための材料」としては具体性がなく、物足りないのではないでしょうか。

この場合、

  • アクセス数が120%増加した
  • 週に2時間の工数が削減された
  • 利用者の満足度が70%→90%に上がった

のように数値で書くことで、より利用時の変化をイメージしやすくなります。

また「〇時間工数が削減するなら、かけた費用は回収できそうだ」など、シミュレーションが合えば、より積極的に検討してもらえます。そのため、成果は「数値」で質問してみてください。


監修者:douco株式会社からのコメント

導入事例ページは、アクセス解析上ではコンバージョン(購入や問い合わせ等)が発生しておらず、優先度を下げる企業もいます。

しかし「購入したユーザーが、実は申し込みの過程で導入事例を参考にしていた」「商談で導入事例があったから購入を決めた」というケースは珍しくありません。

特に商談において、導入事例は非常に重要です。お客様としても、「結局この商品を入れるとどういいの?」「実際にはどう使われてるの?」という疑問があることがほとんどだからです。

また、社員研修でも導入事例は効果的です。まだ知識の浅い新人の場合、いきなり細かいサービスの機能やスペックを聞かされても、なかなか実践で使える知識にはなりません。

そこで、さきほどの「結局この商品はどういいの?」「実際はどうなの?」という具体的で実践的な内容を覚えるのがおすすめです。

営業担当になろうが開発担当になろうが「お客様を知る」というところは避けられません。なので、導入事例を研修に使うのは非常におすすめです。

その観点で言うと、riclinkさんの事例やその使い方が、一つ参考になると感じました。それが、「導入事例のまとめ方」です。

riclinkさんは営業マンごとにプロフィールページを用意しており、その中で「ピックアップ事例」を記載しています。

https://admin.riclink.jp/new-post/sales2/i0QaynHzlXDfmnLf


実はこの部分、社内では「選んだ事例について話せるかどうか」の定期的なスキルチェックに使っているそうです。

自分が喋れるようになった事例は、このプロフィールページにどんどん載せていき、それが人事評価の一つの要素になっています。

そして、上長面談の場などで、急に「この事例について説明してくれ」と言われるようです。

このようなまとめ方・活用方法もあるので、参考にしていただければと思います。


こちらの資料もご参考にしてください



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