Web担当者じゃなくても知っておくべき「サードパーティークッキー」とは?

近年、Web界隈では「サードパーティークッキー廃止」の動きが進んでいます。

このサードパーティークッキーが廃止された場合、企業のマーケティング活動は大きく方向転換をしなければなりません。

そこで本記事では、このサードパーティークッキーの概要や、廃止に向けて企業が取り組むべきことなどをお伝えします。



 サードパーティークッキーとは 

 サードパーティークッキーの廃止が延期になった背景 

 廃止に向けて企業が確認しておくべき2つのこと 

 確認事項1. 広告運用の見直し 

 確認事項2. Web解析ツールのトラッキング方法の見直し 

 Web広告以外の施策に注力することも効果的 



サードパーティークッキーとは

サードパーティークッキーとは、「アクセスしたWebサイトのドメイン以外の第三者から発行されたクッキー」のことです。

順を追って説明をすると、そもそも「クッキー」とは、サイトにアクセスしたユーザーの情報を一時的に保管しておく仕組みのことを指します。

例えば、通販サイトで欲しい商品を買い物カゴに入れ、一度ブラウザを閉じてから再度アクセスしてもカゴの中に商品が残り続けていることがあります。

これはクッキーの仕組みが使われて、以前買い物カゴに商品を入れた情報が保管されていたからです。

このクッキーは、具体的には以下のような仕組みになっています。


  1. 訪問したサイトのサーバーからブラウザに、データ(クッキー)が渡される

  2. 再度訪問した際に、ブラウザからサイトのサーバーへデータが戻される

  3. サイトが「前と同じユーザーだ」と認識し、表示内容を変える


ここで、「ファーストパーティークッキー」と「サードパーティークッキー」の違いを確認しておきましょう。 


両者の違いは「誰がクッキーを発行するか」にあります。


まず、ファーストパーティークッキーは「アクセスしたWebサイトのドメイン」から直接発行されたものです。


一方で、サードパーティークッキーは「アクセスしたWebサイトのドメイン以外」から発行されたものであり、「第三者が発行したクッキー」なので「サードパーティークッキー」と呼ばれています。


近年、このサードパーティークッキーを規制する動きが進んできました。


例えば、Googleは「Chrome」でのサードパーティークッキーのサポートを2024年後半までに段階的に廃止すると発表しており、「Safari」では2020年にデフォルトでサードパーティークッキーが全面廃止され、すでに使用できなくなっています。


このように規制が進む理由は、サードパーティークッキーは複数のサイトをまたいでのトラッキング(追跡すること)が可能であり、ユーザーの行動をあらゆる接点で計測できてしまうからです。


これはプライバシー上の問題があるということで、世界的に問題視されてきました。


Googleもその対策として、次のような流れでサードパーティークッキーの利用の禁止を進めてきた経緯があります。


 【Googleとサードパーティークッキーをめぐる過去の経緯】

  1. 2020年、Googleは2年以内にサードパーティークッキーのサポートを廃止すると発表

  2. 2022年までに段階的に廃止される予定だったが、2023年後半まで廃止を延期したことを発表

  3. 2度目の延期を発表し、廃止を2024年後半まで延長



サードパーティークッキーの廃止が延期になった背景



Googleは2020年に「2年以内にサードパーティークッキーのサポートを廃止する」と発表したものの、現在は廃止の時期が2024年後半まで延長されています。


延期になった背景としては、「プライバシーサンドボックス」の開発やテストに時間を要していることが考えられます。


このプライバシーサンドボックスは、Googleが開発しているプライバシー保護のための技術です。


サードパーティークッキーでは、「個人」のブラウザ上での行動を追跡して広告配信などがおこなわれており、各ユーザーの動きを把握できてしまう点が問題視されてきました。


そこで、これを解決するためにプライバシーサンドボックスでは「個人」を「集団」にまとめて、その集団ごとに適切な広告などを提供する方法が採られます。


プライバシーサンドボックスの具体的な仕組みは、以下のとおりです。


  1. AIが各ユーザーの行動履歴を分析して、似たような好みや関心を持つユーザーをまとめてグループにする

  2. グループ分けした集団ごとに、配信する広告などが判断される


この方法であれば、各ユーザーは集団の中に紛れるため、個人の動きは特定されずにプライバシーを保護できます。


まとめると、サードパーティクッキーの代替技術として「プライバシーサンドボックス」が開発され、その開発やテストに時間がかかっていることから、サードパーティクッキーの廃止が延期になっているものと考えられます。


廃止に向けて企業が確認しておくべき2つのこと

サードパーティークッキーの廃止に向けて企業が確認しておくべきことは、以下の2つです。


 1. 広告運用の見直し
 2. Web解析ツールのトラッキング方法の見直し

それぞれの詳細を見ていきましょう。


確認事項1. 広告運用の見直し

まず検討しておきたいのは、「広告運用の見直し」です。

サードパーティークッキーが廃止になると、これを活用した広告配信が困難になります。

特に大きな影響を受けるのは、「リターゲティング広告」です。

リターゲティング広告とは、自分のサイトへアクセスしたユーザーのその後のブラウザ上での動きを追跡し、別のサイトの中に自身の広告を表示させるものです。

例えば、通販サイトで商品を見た後に別のサイトへアクセスすると、ページ内に通販サイトで見たものと同じ商品の広告が表示されることがありますが、これは「リターゲティング広告」が活用されているからです。

リターゲティング広告は、以下のような仕組みになっています。

  1. サイトAにアクセスしたユーザーに対して「広告を管理するサーバー(※このサーバーはサイトAのサーバーとは異なる)」からクッキーが発行される

  2. ユーザーが別のサイトBへアクセスする

  3. ブラウザに保存されていたクッキーが、「広告を管理するサーバー」に戻される

  4. サイトBの中に、サイトAに関連した広告が表示される

このリターゲティング広告は、数ある広告の配信方法のなかでもダントツで成約率が高い傾向にありますが、サードパーティークッキーが廃止になった場合は使いにくくなることが予想されます。

このため、リターゲティング広告の運用を見直すなど、企業にはサードパーティークッキーに頼らない広告施策が求められます。


確認事項2. Web解析ツールのトラッキング方法の見直し

続いて検討しておきたいのが、「Web解析ツールのトラッキング方法の見直し」です。

Web解析ツールのなかには、サードパーティークッキーを使用して効果測定をしているものも多いです。

例えば、広告の効果測定ツールでは

 ・「広告はどれほど表示されているのか」

 ・「表示された広告のうち何回クリックされたのか」

といった情報を収集する際に、サードパーティークッキーを活用していることがあります。

サードパーティークッキーが廃止になれば、正確な効果測定はできなくなってしまう可能性が高いです。

そのため、早いうちから自社で使用している解析ツールの「トラッキング方法」を確認し、必要に応じて別な解析方法へ変更するなどの対策を図りましょう。

なお、ファーストパーティークッキーのデータは今後も活用できるため、ファーストパーティーデータを用いるツールを使うことで、サードパーティークッキー廃止の影響を軽減できます。


Web広告以外の施策に注力することも効果的

サードパーティークッキーの廃止は、主に企業のWeb広告運用に大きな影響を与えます。

このため「自社にはどのような影響が出てくるのか」を把握して、早めに対策を図ることが大切です。

なお、Webマーケティングの手法には、Web広告以外にもあらゆる手段が存在します。

例えば、SEOやSNS運用などは長期的な視点での顧客獲得に効果的であり、サードパーティークッキー廃止の影響はあまり受けません。

これを機に、自社のマーケティング手法を見直してみてはいかがでしょうか。


こちらの資料もあわせて参考にしてみてください。

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