バーチャルキャラクターの企業活用事例と今後の展望
2020年現在バーチャルキャラクター(VTuber)の数は1万人を超え、企業とタイアップして広告に積極的に活用されるまで認知されるようになりました。かつては奇異の視線で見られていたバーチャルキャラクターが大企業の広告に採用されるということは一定の支持を得た証拠だと言えます。
以前にバーチャルキャラクター(VTuber)が企業のBtoB領域PR・動画マーケティングを加速させる時代の記事を書きましたが、本記事ではバーチャルキャラクターがどのように企業に活用されているのか、その事例と今後について解説していきます。
バーチャルキャラクターとは?
バーチャルキャラクターには公式な定義がありませんが、ここでは2Dや3Dで描かれた仮想のキャラクターであり、YouTubeの枠を超えてTVやWebなどの様々なメディアで活動を⾏っているタレント・キャラクター全般の事を指します。
生身の人間が3Dや3Dのアバターをまとって演じているのが特徴であり、Virtual YouTuber(バーチャルユーチューバー:VTuber)とも呼ばれます。
なぜバーチャルキャラクターが起用されるのか?
バーチャルキャラクター起用されるのは大きく分けて2つのケースに分けられます。
タイアップで認知を高める
一つは既存のバーチャルキャラクター(VTuber)とコラボレーション企画をすることで、バーチャルキャラクターの影響力を自社に行使してもらう手法です。つまり広告宣伝の手段として既存のキャラクターの人気を活用する方法です。芸能人にCMを依頼するのに近いと言えるでしょう。
下記は日清食品が自社製品(ペヤング)のマーケティング施策として、チャンネル登録者99万人を超える人気VTuber、輝夜月(かぐや るな)とコラボした動画です。
日清グループの公式チャンネル登録者は13万人で、上記の動画は500万再生を突破しました。これまで届かなかった顧客層にも認知を広げる事に成功した好例だと言えるでしょう。
自社の広告宣伝役に任命する
2つ目は自社でバーチャルキャラクターを立ち上げて運用するケースです。こちらは既に認知されているブランドキャラクター(例えばローソンのからあげくんや赤城乳業のガリガリ君など)でない限りは知名度・影響力がゼロの状態から始まります。
このケースにおけるバーチャルキャラクターはプロの手により完全にコントロールされているためクオリティが高く、広告宣伝役として動画を通じて顧客とコミュニケーションをとるなど様々な役割を担います。
下記はサントリーのバーチャルキャラクター、燦鳥ノム(さんとりのむ)です。
サントリー公式チャンネルは24万人の登録者を持っていますが、その多くは商品CMであり数千再生程度の動画がほとんどです。
しかし燦鳥ノムはサントリーとは独立したチャンネルで運用されていながら直接自社をPRせず、歌やゲーム実況をするなどして人気を集めています。
公式チャンネルのオフィシャル動画が伸び悩む中、燦鳥ノムの動画は最低でも数万再生以上、「歌ってみた」動画では30万再生以上を突破しており、間接的ながら広く同社をPRしていると言えるでしょう。
バーチャルキャラクターの強みと真価
なぜバーチャルキャラクターはオフィシャルな動画よりも人気を博すのか、それはバーチャルキャラクターであるからこそ保てる絶妙な距離感にあります。
バーチャルキャラクターは生身の人間と違い、抽象化されているので生身の人間が口にしづらい事でも角が立たずに話せますし、プロが演じるので表現豊かなトークで飽きさせません。会社の広報担当者が話すと公式発言という事でどうしても重く受け取られがちですが、バーチャルな存在はリアルな会社との距離があるので自己言及的な発言がしやすいのです。
もちろんバーチャルキャラクターに喋ってもらう内容は事前に会社がシナリオチェックした上でGOサインを出したものですが、受け取り手の感じ方が変わってくるので「売り込まれている」感が和らぎます。
バーチャルキャラクターの位置づけは会社によって異なり会社のイメージを認知してもらうために使ったり、自社のPRを代弁させたりと様々です。
バーチャルキャラクターの企業活用事例
実際に企業がどのようにバーチャルキャラクターを活用しているのか、その一部を紹介します。
日経 xTECH / 黒須もあ(β)
日経BPが運営する日経xTECH(クロステック)は日経 xTECHの新人バーチャル記者として黒須もあを運用しています。テック系の解説を中心とした動画をアップしており、動画説明欄から同社のウェブサイトに誘導しています。
クックパッドたん / Cooking Fairy
レシピサイト、クックパッドの公式バーチャルキャラクターがクックパッドたんです。妖精の国(フェアリーランド)にあるお料理の国の料理の妖精という設定のキャラクターです。2019年からレシピを紹介するなど、ほぼ毎日生放送をしています。
また活動の場はYoutubeだけでなくTwitterにも広がっており非常に精力的に活動しています。
虹河ラキ
遊技機メーカー山佐の専属VTuberが虹河ラキです。スロットマシンの紹介をするだけでなく歌ったりゲーム実況したりとアイドル的に振舞っており、ユーザーとの距離感が近いのが特徴です。
ここで紹介した事例のほかにもウェザーロイドAiri(うぇざーろいどあいり)や大蔦エルなど企業や自治体におけるバーチャルキャラクターは多数存在します。
そんな活用事例についてまとめた資料を無料配布しているので、是非ご覧になってみて下さい。
BtoB領域での活用へ
ここまで紹介した事例が示す通り専属のバーチャルキャラクターは運営企業のブランドイメージの一端を担っており、主に不特定多数に向けたBtoCの領域で活動しています。
しかし今後はBtoB領域においても活用が進むのは間違いありません。
もはやアニメや漫画の表現は普遍化しており、顧客に受け入れやすくなっています。バーチャルキャラクターが会社や自社製品の紹介をしたり、Q&Aに回答したりするのは何ら不自然な事ではありません。
それどころか自社のイメージを担うバーチャルキャラクター動画を適切に活用することで自社を印象付けられますし、営業や顧客対応のクオリティが安定するでしょう。
今後のバーチャルキャラクター
企業には固有のブランドイメージがあります。サンリオやディズニーのようなキャラクタービジネスをしていなくても、会社や商品のイメージが特定のキャラクターと紐づいているケースは珍しくありません。
そのキャラクターがBtoC、BtoBの領域を問わず顧客と接すれば、一担当者の言葉よりも大きな影響力を行使できます。
バーチャルキャラクターは企業CMとして自社イメージを代表してくれる特定の芸能人を起用するよりコストがかかりませんし不祥事もなく、コントロールしやすいのです。
バーチャルキャラクターを導入してみたい、動画マーケティングについてもっと知りたいという方はお気軽にご相談ください。
まずは資料をご覧になって実際の活用事例など参考にしてみてはいかがでしょうか。