才流×セレブリックスと語る「ログマネジメントの本質」とは
突然ですが質問です。あなたは一次商談(サービス説明)後に顧客に動画を送付したとします。その視聴ログ(以下)をどう営業に活用しますか?
今回は、BtoBマーケティング・セールスのスペシャリストである株式会社才流・株式会社セレブリックスの2社と弊社で、上記のデータをもとに「ログマネジメント」についてディスカッションしました。
そしてその結果わかったログマネジメントのコツと本質について、お伝えします。
※本記事の内容は、以下の動画でも視聴いただけます。
ディスカッションメンバーの紹介
株式会社才流 代表取締役社長 栗原康太 氏
2011年にIT系上場企業に入社し、BtoBマーケティング支援事業を立ち上げ。 事業部長、経営会議メンバーを歴任。 2016年に「才能を流通させる」をミッションに株式会社才流を設立。 アドテック東京などのカンファレンスでの登壇、宣伝会議・広報会議など主要業界紙での執筆、取材実績多数。
株式会社セレブリックス セールスエバンジェリスト 今井晶也 氏
セールスエバンジェリストとして、新規開拓・セールスモデルの研究、開発、講演を行う。 商品内容に依存されない、B2Bセールスの普遍のバイブルとなる“顧客開拓メソッド™”を執筆、制作。 Everything DiSC®️の認定トレーナーであり、専門は営業、プレゼンテーション、コミュニケーションスタイルと多岐に渡る。 現在はセールスカンパニー 執行役員 マーケティング本部長として、 セレブリックスのブランディング、新規事業、営業の統括責任者を兼任。 代表的な活動(講演内容)として、宣伝会議主催のセールスコンテンツ講義、営業の№1を決める大会であるS1グランプリの審査員、 各カンファレンスでの基調講演等、多方面で活躍する。
株式会社シーズ・リンク 代表取締役 澤田裕樹
大手不動産会社にて東京エリアの営業責任者を経て、営業組織約100名の組織運営の経験から2015年11月、「株式会社シーズ・リンク」を設立。 創業からIT、IoTサービスの販売とコンサルティングにて実績を残し、クラウドカメラ、クラウドCTI、HOME IoTサービスにて販売実績1位。 2019年5月には自社プロダクトのクラウドサービス「riclink」をローンチ。
株式会社セレブリックス 今井氏のログマネジメント
澤田:今井さんはこちらの顧客の視聴ログを見て、どう考えますか?なお前提として、A~D社すべて窓口担当者は2人とします。
※冒頭と同じログを再掲
視聴時間や遷移率が低くてもA社が最も好印象
今井 氏:まず、A社が最も魅力的だと思います。平均視聴時間やストック率、遷移率を見ると、A社は一見反応が悪そうに見えるかもしれません。ですが「一人の担当者が社内に共有した動画が23回見られた」という窓口としての影響力とパワーを評価します。
平均視聴時間やストック率などの数値は低くても「1回でも見させた担当者の権威とパワー」が大事だと思うんです。なので、今の窓口担当者を相手に進めていくのは効果的だと考え、注力する会社だと判断します。
B社とC社は「誰が見ているか?」次第
澤田:ではA社以外についてはどう考えますか?
今井 氏:まったく反応のないD社は置いておくとして、B社とC社は「誰が見ているか?」次第ですね。B社は平均視聴時間やストック率、遷移率すべて高い数値です。とはいえ、反応している人たちが窓口担当者より役職の低い人ならそこまで注力しません。
どんなに現場に興味を持たれても、役職の高いメンバーが興味を持たなければ、その後の商談には繋がりにくいですからね。逆に上司が視聴しストックしているのであれば、かなり注力すべきだと考えます。
澤田:C社についてはいかがでしょう?
今井 氏:C社も誰が見ているか?によりますね。C社の再生数は少ないですが、上司に見られているのであれば、注力すべきと判断します。
澤田:数値そのものというよりは、数値の裏にある「窓口担当の動き」や「誰が見たか」に着目するわけですね。では、具体的にどのようなアクションにつなげるのでしょうか?
今井 氏:誰が見たのか確認するよう営業メンバーを促す、ですね。なので「動画の視聴ログでこれだけの再生数が出てるけど、誰が視聴したかわかる?」のように聞いてみます。
【株式会社セレブリックス 今井氏のログマネジメントまとめ】
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株式会社才流 栗原氏のログマネジメント
澤田:栗原さんはいかがでしょうか?データを見て何を考えるか、お聞きできたらと思います。
※冒頭と同じログを再掲
「なぜ刺さったか?刺さらなかったか?」を確認する
栗原 氏:私の場合、ログをもとに商談相手に心理や状況を仮説立て、実際にヒアリングします。なぜなら、定量的なデータだけで顧客のことを考えるのは難しいからです。マーケティングの仕事をしていると「定量データを重視して定性データを軽視する」というケースをよく見かけます。
ですが実際、ログ(定量データ)だけ見ても、顧客の心理や状況(定性データ)はよくわかりません。Google Analyticsだけを見てマーケティング施策を考えるのが難しいのと同じです。なので、まずは商談相手に話を聞くところから始めます。
澤田:具体的にはどのような内容をヒアリングするのでしょうか?
栗原 氏:「なぜ刺さったか?刺さらなかったか?」ですね。A社やB社は再生数や遷移率などの数値が高く、反応が良い顧客と言えます。つまり製品や営業トーク、スライドなど何かしらが刺さっている可能性が高いです。
なので「なぜ刺さったか?どこが刺さったか?」をヒアリングします。逆にD社は視聴がまったくされていない分「なぜ刺さらなかったのか?」データを集めます。
刺さった営業トークや資料をマーケティングに活用する
澤田:では刺さった・刺さらなかったデータを集めたら、どのように活用するのでしょうか?
栗原 氏:「自社サイトに載せるべきデータを探す」「LPや商品紹介ページのネタにする」など、マーケティングに活用します。
「営業資料がお客さんに刺さっているのに、社内のマーケターがそれを感知できていない。自社Webサイトにもその内容が載っていない。」というケースは少なくありません。このような場合、Webサイトに資料を載せるだけでも数値が伸びます。
また、刺さっているトーク内容は、LPや商品紹介ページに活用します。刺さった表現をキャッチコピーとして使用しても良いですし、訴求軸のネタとして取り入れることも可能です。
澤田:営業だけでなくマーケティングにも活用する、という話は面白いですね。
【株式会社才流 栗原氏のログマネジメントまとめ】
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まだあるログの活用方法
澤田:他にログの活用方法があれば、ぜひ伺いたいです。
今井 氏:営業の案件会議でもログは活用できるかと思いました。各案件の動きについて話すミーティングで、ログを見ながら話し合えるかなと。例えば、以下のような会話のイメージです。
営業担当 「契約できると思います。確度80%です。」
マネージャー 「riclink見てくれた人は誰だろう?上司?同僚?」
営業担当 「わかりません。」
マネージャー 「確認してみよう。もし上司が見ていない場合、上司の意見が現場と違えば80%の確度が一気に0%になるかもしれない。次回の提案は上司も同席してもらうように促すと良いかもね。」
このような会話ができれば、案件の確度を高められるかと思います。
澤田:定量データをもとに確度を判断したり高めたりできる、素晴らしい方法ですね。
今井 氏:はい。他にも、「失注・育成リスト」に入れていた企業が数ヵ月ぶりに視聴した場合、「状況が変わったかもしれないからフォローコール入れよう」と会議中に言い合えると思います。
澤田:そのような「顧客の変化をウォッチするためのログ活用」も良いですよね。弊社も推奨している使い方です。実際に、ログをウォッチすることで顧客の社内検討が進んでいなかったことに気づけた事例もあります。
「稟議にかけます」と言っていた顧客の視聴ログを2週間ウォッチしたところ、再生数が毎日0のままでした。稟議が進むのであれば、定期的に再生されるはずです。それにも関わらず視聴数が0のままなので、「あ、稟議あげてないな」と気づけました。フォロー時の言葉選びも変わってくるので、顧客の変化に気づけるというのは大きいんですよね。
「ログから顧客の心理や状況を推測⇒実際に確認」がログマネジメントの本質
これまでの話では「ログ単体で良し悪しを判断するのではなく、顧客の心理や状況を推測するのに活用するべき」という点が共通していました。
そしてその仮説を確認し、営業・マーケティングに生かす。これがログマネジメントの本質ではないでしょうか。
今回のディスカッションは、「オンラインで売上アップに貢献する『デジタル提案書』」というセミナーのエピローグ部分です。
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才流栗原氏とセレブリックス今井氏をゲストに迎えたウェビナー
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